子どもは、急に熱を出すとひきつけることがあります。熱によるひきつけは、通常生後6ヶ月から5歳くらいまでの小児におこります。その頻度は大体8%前後、10人に1人くらいが熱性けいれんをおこすと言われており、けっしてまれなことではありません。しばしば遺伝の傾向があり、両親、兄弟に熱性けいれんがみられることが多いとされています。
いつも元気な子が急な発熱と共に白目をむいて、全身を硬直させ、ビクンビクンと手足をつっぱったりして、意識がなくなり呼びかけに反応しません。
親はこんな状態に大あわて、パニックになってしまいます。落ち着いて対応できないのは当たり前ですが、まずあわてずに、ゆすったりしないで刺激を与えず、横に寝かしてください。
衣服とくに首のまわりをゆるめます。昔は舌を噛まないように口に物を入れたりしたのですが、舌を噛んでしまうことはありません。呼吸障害の原因になるので口にはなにもはさまないでください。
けいれんとともに吐いてしまうことがあるので、背中にタオルなどをあてて体を横向きにしましょう。うまくできない場合はそのままでもよく、吐きそうになったら横向きにしてください。
多くのひきつけは、3分以内におさまります。大体でよいのですが、できるだけけいれんの時間を計りましょう。けいれんが落ち着いたら熱をはかり、解熱剤の座薬をいれます。
3分以内におさまり、意識がはっきりしている場合は、ゆっくりと診療時間内に受診してください。5分以上たってもけいれんが一向におさまらない場合や、顔色が蒼白や紫色になってきた場合や、けいれんがおさまっても意識がなかなか回復しない場合は、救急車を呼びましょう。
熱性けいれんは、2回、3回とおこしてしまうこともありますが、6割くらいの子は一生で1回だけです。何度も熱性けいれんを起こす場合や、熱があまりないのにひきつける場合は、脳に異常がみられることがあり、脳波検査などが必要となります。熱性けいれんは、脳波の異常がないのが普通です。
熱性けいれんを繰り返す子どもは、ひきつけ予防の座薬を使用してもらうことがありますが、その適応、使用法などについては主治医にご相談ください。