『なくて七癖』といわれるように、だれしも何かしらくせをもっているものです。これらは単なる個性としてたいした問題になりません。しかし子どものちょっと気になる『くせ』は、しばしばお母さんの心配の種になります。
そこで子どもにみられるいろいろなくせの中で、とくに質問にされることの多いくせについて考えてみましょう。今回は、主に赤ちゃんにみられるくせについて。
≪指しゃぶり≫
赤ちゃんは胎児のときから指をすすっていますが、実際に指吸いが始まるのは手を自由に口にもっていけるようになる生後4~5ヶ月以後、とくに歯が生え始める時期に一致して始まることが多いようです。
「もう2才になるのに指しゃぶりがひどく、起きているときしゃぶっていないときのほうが少ないくらいです。歯並びに影響があるとも聞きますし、なんとか治すことができませんか・・・?」
残念ながらすぐにやめさせることは難しく、強く注意したり無理に指をはなしたりすると、かえって意識してしゃぶるくせが強くなります。やめさせ方を考える前に、どうしてこんなくせがでるのか、そのわけを考えてみましょう。
爪かみ、指しゃぶり、歯ぎしりなどの行為は、がまんの表れだともいえそうです。
子どもは、どんな気持ちをがまんしているのでしょう。くせがいつ頃から始まったのか、ひどくなったのかと思い出してみるとヒントが得られることがあります。
断乳をしてから、下の子が生まれたとき、保育園に預かるようになってから、などそれらにかかわるつらい気持ちに気づき、それを受け止めてあげてください。抱っこしてくわえている指をやさしくはずすなどして慰めてあげましょう。お母さんの気持ちを受け止めることができるようになると、少しずつがまんの象徴であるくせが減ってゆきます。
そして2才くらいになると、いろいろ興味がひかれることが多くなってゆき遊びもひろがってゆきます。そうこうしているうちに、あるとき急にやめてしまうことが多いようです。
3、4才をすぎても指しゃぶりのくせが治らないと歯並びに影響すると言われますが、その頃には大体治ってきていることが多く問題になることはまずありません。
指しゃぶりは、いつか必ず治ってゆくものですからあせらず無理をしないことです。
指吸いのために指がふやけたり、ひび割れたりして細菌感染を起こすことがあります。この場合は一時的に手袋などして保護してあげる必要があります。