1999年、米国小児科学会は「脳の発達を妨げる恐れがあり、2歳未満の乳幼児にはテレビを見せるべきではない」と勧告しました。乳幼児がテレビを見ることによって、知能や情緒の発達に不可欠な親や保育者との双方向のかかわりができなくなる・・・との理由をあげています。
2004年、日本小児科学会と小児科学会は、メディアが子どもに与える影響を懸念して以下のような提言を行っています。
- 2歳までのテレビ、ビデオの視聴は控えましょう。
- 授乳中、食事中、テレビ、ビデオは止めましょう。
- すべてのメディアに接する時間を制限することが重要です。1日2時間までを目安に、テレビゲームは1日30分までを目安と考えます。
- 子供の部屋には、テレビ、ビデオ、パソコンを置かないようにしましょう。
- 保護者と子供でメディアを上手に利用するルールを作りましょう。
この提言をもとに、2005年、小児科学会の「こどもの生活環境改善委員会」が1歳6ヶ月の児(1500人)対象とした調査を行いました。
テレビの視聴時間に基づいた言葉の発達の遅れる割合
- 「子供が4時間未満で、家族が8時間未満」約15%
- 「子供が4時間以上で、家族が8時間未満」約18%
- 「子供が4時間未満で、家族が8時間以上」約23%
- 「子供が4時間以上で、家族が8時間以上」約30%
最も視聴時間の長いグループは、最も短いグループに比べると言葉の遅れが2倍になっています。調査の結果、
- 長時間の視聴は1歳6ヶ月時点の意味ある言葉(有意語)の出現の遅れと関係がある
- とくに日常やテレビ視聴時に親子の会話が少ない家庭の長時間視聴児で有意語出現が遅れる率が高い
- このようなテレビの影響についてほとんどの親が気付いていない・・・
などを指摘しています。
2歳以下の乳幼児に長時間テレビを見せることは、親子が顔を合わせ一緒に遊ぶ時間を奪い、言葉や心の発達を妨げます。テレビを絶対に見せてはいけないと言うことではありませんが、ほどほどにして、できるだけ親子の対話や遊びを工夫してみましょう。