ハイハイの持つ意味について考えてみましょう。ハイハイが出現するのは、乳児期の後半です。生後4ヶ月ころ、赤ちゃんは夜と昼に合せて、寝たり起きたりするようになります。
少し難しい話になりますが、この昼夜にあった覚醒と睡眠のリズムが作られるのに、脳幹のアミン系神経からのセロトニンという物質が関係していることが知られています。
ハイハイもこの神経系が発達して、できるようになるといわれています。
そして生後7、8ヶ月以降、手足を交互に動かして進む四つん這いのハイハイが、この神経系の活性を高めることにもつながっていることもわかってきています。
先天的に情緒と知的発達に遅れのある子供を調べてみると、乳児期後半に全くハイハイをしないか、正しいハイハイをしない場合が多くみられることが指摘されています。
神経発達に詳しい瀬川先生(東京・瀬川クリニック)は、ハイハイの型を図に示すように6つに分けています。膝から足の甲を床につける最も一般的なハイハイ「ウ」を正常としています。自閉症やレット症候群ではつま先をつける「オ」、ダウン症では足をつっぱる「カ」が目立ち、正常のハイハイの「ウ」のパターンをとる例は、自閉症の4分の1に過ぎなかったとしています。
乳児期後半に現れる正常の四つん這いは、ヒトのみに見られる行動で、ヒト特有のものです。
ハイハイは、乳児期後半のアミン系神経系の発達によってハイハイが出現し、ハイハイによってこの神経系が活性化します。赤ちゃんは、ただ歩けないからハイハイしているのではなく、ハイハイしながら脳を発達させているようです。ハイハイは、赤ちゃんの脳の発達にかかせないものでありそうです。
ハイハイさせやすい家庭環境を整えてあげ、歩行器に長時間乗せたり、無理に歩かせるようなことは控えてください。