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北見小児科医師が書いた子育てアドバイス

子どもの気になる病気その⑥ ヒトパレコウィルス感染症

ヒトパレコウィルス(human parechovirus:HPeV)は、主に小さな子どもで上気道炎や胃腸炎などを起こし、咳、鼻水、発熱あるいは下痢、嘔吐などといった症状をきたします。大人も感染することがありますが、症状が出ない不顕性感染や軽い上気道炎となることが多いようです。

HPeVは、現在1〜16型の血清/遺伝子型が報告されています。HPeV-1、2、4、〜8は、軽度の胃腸炎や上気道炎症状を呈することが多く、不顕性感染も多いとされています。

その一方で、HPeV-3型は、新生児や生後3か月未満の早期乳児で、重症の感染症(敗血症や髄膜炎など)の原因となることが分かり、最近とくに注目されています。本邦において、2006、2008、2011、2014、2016年にHPeV-3の流行が報告されており、2〜3年周期で流行が見られています。

3か月未満児のHPeV-3感染症の特徴

高熱の新生児、3か月未満児ではパレコウィルス感染症を疑う必要があります。

●特徴的な発疹…体幹に発疹を伴うことがありますが、約8割に手掌、足底に紅斑を認めます。「有熱の新生児、幼弱乳児での手掌、足底の紅斑は、HPeV-3の有力な根拠」とされています。
●敗血症を呈し、重症化することが多い。
●中枢神経症状(髄膜炎の危険性)
●腹満(麻痺性イレウス)を伴うことがあります。
●血液検査では白血球数は減少、CRPなどの炎症反応マーカーは正常範囲。
●特別な治療はなく、重症度に応じた強力な支持療法が必要となります。

日本では、約80%の4歳児でHPeV-3抗体は陽性化しており、幼児では重症例の報告はありません。これに対して、3か月未満児のHPeV-3感染では、特徴的な発疹と敗血症を呈し重症化することが多いという、際立った特徴を持つ感染症のようです。

HPeV-3の感染経路は、家族からの伝播が多く、特に感冒症状や筋肉痛のある家族との接触によることが多いとされていますが、不明のことも多いようです。

新生児、早期乳児のいる家庭においては、感冒症状のある家族との接触をなるべく避け、マスク着用と手洗いを中心とした手指衛生に配慮することが重要です。

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