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北見小児科医師が書いた子育てアドバイス

子どもの気になる病気その① PFAPA症候群

4歳の男児、前日から40℃の高熱で受診。扁桃腺炎の所見で唇の内側に口内炎あり、 溶連菌の迅速診断は陰性。抗生剤使用せずに4日で解熱。通常のウィルス性扁桃炎と 思われました。その1か月後、同様の発熱、扁桃腺炎の所見あるも口内炎なし/頸部 リンパ節の腫脹あり、溶連菌検査陰性で、抗生剤使用し3日間で改善。その後しばらく 受診しなかったのですが、半年くらいしてまた高熱で受診しました。同じような 扁桃炎で熱以外の他の症状はありません。お話を聞くと、この間にも何度も同じような 症状があり、別のクリニックを受診されて抗生剤の治療を受けていたそうです。 お薬手帳を見てその間隔を確認すると、ほぼ1か月半くらいの間隔になっています。 この周期的な発熱と扁桃炎の原因は、何なのでしょう?これがPFAPA症候群です。

PFAPAというのは、periodic fever(周期的発熱)、aphthous stomatitis(アフタ 口内炎)、pharyngitis(咽頭炎)、cervical adenitis(頸部リンパ節炎)の略です。

多くは5歳以下の乳幼児に発症します。日本の平均発症年齢は3.2歳、成人発症はまれ とされています。日本での発生率は?原因は明確ではありませんが、サイトカイン 調節障害によって特徴づけられる免疫性疾患と考えられています。家族集積性もあり、 遺伝的な関与も指摘されています。

診断

診断基準を表に示します。39~40℃以上の発熱が突然出て、平均5日間(3~6日) 続きます。発熱の間隔は平均24日(3~8週)で月経周期のような規則性がみられます。 アフタ口内炎、頸部リンパ節炎は50~70%、咽頭、扁桃炎は半数以上にみられ反復性 扁桃炎の診断を受けている例が多く見られます。検査所見に特徴的なものはありません。

治療

抗生剤は無効。ステロイドが著効しますが、シメチジン(H2ブロッカー)も 有効。

予後

多くの症例で、時間の経過とともに発熱間隔が広がり、症状も軽くなり、 後遺症を残すこともなく4~8年で自然治癒します。その後も正常な成長、発達を示します。 咽頭炎や扁桃炎を繰り返すことは子どもにはよくある事なので見過ごしがちですが、 時計仕掛けのような周期的な発熱を見た場合、このような不思議な疾患があることを 頭の片隅に置いておくことも必要です。

小児科コラム

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