前回に引き続き、子どもの長引く咳について、注意すべきポイント
特に後鼻漏症候群には注意が必要です。後鼻漏はドローっとした鼻水がのどの後壁に流れ込む状態ですが、口腔内の視診で観察できます。 乳幼児では上気道炎による膿性の後鼻漏が問題ですし、年長児ではアレルギー性鼻炎あるいは副鼻腔炎(ちくのう)などが原因となります。 乳児においては、咳や喘鳴といった呼吸器症状のみならず、嘔吐や食欲不振、不機嫌、睡眠障害、腹部膨満などいろいろな症状の原因となります。 乳幼児では、膿性の鼻水を吸引してあげることが重要となります。
気道のアレルギー疾患の代表として喘息があります。子どもによっては喘息がうまくコントロールされていても咳だけ続くことがあります。
咳と発作がつながらない場合です。喘息はアレルギー性鼻炎などを合併することが多く、咳の原因が鼻炎による後鼻漏などによることがあります。
喘息児でもアレルギー性鼻炎が咳の原因となることを考慮しておく必要があります。
一般的に、ドローっとした膿性の鼻汁がある場合には後鼻
漏症候群を疑いますし、くしゃみ、水様の鼻汁、鼻すすりなどがあるときはアレルギー性鼻炎、喘鳴を繰り返しアトピー素因がある場合は喘息を
疑うことになります。
また家族の喫煙状況から受動喫煙との関連を疑うことができます。心因性の咳では、昼間はかなり咳をしていても眠ると 咳が出なくなり、何かに集中している時も咳はでないという特徴があります。
一方、咳以外に診断に結びつく所見に乏しく、乾いた咳が出る場合、非特異的咳といいます。この場合は自然に消退することが多いとされ、 しばらくフォローするだけでよさそうです。
普通でも寝入りばなは副交感神経が優位になり、気管が狭くなり気道の分泌物が多くなります。急性の感染症の咳は、寝入りばなや起きがけに
多いのはこのためです。
長引く咳で寝てからひどい場合は、喘息関連や受動喫煙などによる気道の過敏性が関係していることが多いようです。
当然、気道の分泌物が多くなるので湿性の咳になります。ちくのうやアレルギー性鼻炎の後鼻漏が原因の場合は、寝ているときはいくらか咳は
止まり、起きているときに多く咳がでる傾向にあります。マイコプラズマ肺炎は、乾いた咳が長く続くことが特徴とされています。
実際には長引く咳ではありませんが、日常の診察でよく見られるのが保育園や幼稚園に入ると繰り返しかぜをひく子どもたちです。咳が1ヶ月 以上続いているということですが、よく話を聞いてみると、いったん治ってまた新たなかぜをひいていることが多いようです。かぜが治って登園 すると2、3日で再び鼻水、咳がでて熱がでてきてしまいます。これはかぜをひくことで抵抗力を高めているとも考えられ、ある程度大きくなる までは仕方がないことです。統計的には、このようなお子さんも小学生になるとほとんどかぜをひかなくなります。しばらくは我慢ですが、頑張りましょう。