今回は、子どもの長引く咳についてです。今まで薬を飲んでも咳がなかなか治らず、いつになったら治るんだろう? と思いながら通院を続けた経験がある方はたくさんいると思います。 大人と比べ、もともと子どもは咳の反射が強く、タンをうまく出せないこと、気道の炎症による気道の過敏な状態が 長く続くことなど、いろいろな要因で咳が長引いてしまう傾向があります。
咳の期間が3週未満のものを急性の咳、3~8週のものを遷延性の咳、慢性の咳は8週以上続くものと定義されています。
長引く咳について、注意すべきポイントをいくつかあげてみましょう。
幅広い年齢でよく見られる疾患として、後鼻漏(ドローっとした鼻水が鼻の奥からのどの後壁にたれる状態)を伴う疾患、
気管支喘息やアレルギー性鼻炎といったアレルギー疾患、受動喫煙、感染症後の咳などがあります。
一方、年齢で特異的なものとして、乳児期には誤嚥、胃食道逆流現象(食道と胃の境目の発達が未熟なため、哺乳後
横になると胃の内容物が食道からのどの奥に逆流する)による咳、先天性の喉頭や気管軟化症などがあり、乳児期には
事故による気道異物などにも注意する必要があります。
学童期(小学生以降)になると、アレルギー関連(鼻炎、喘息)
や、マイコプラズマ肺炎などの感染症、また非感染症因子として心因性の咳(チックの一種)、あるいは小児は大人と
比べるとかなり少なくなりますが咳喘息、アトピー咳嗽なども考慮する必要があります。
感染を伴った咳は、長いもので3~8週で治まる傾向にあります。原因菌として、百日咳菌、肺炎マイコプラズマ、 肺炎クラミジアなどがあります。