即時型食物アレルギーの疫学調査は平成10年から定期的に実施されています。わが国の3大原因食物は、鶏卵、牛乳、小麦です(図)。この3つで全体の3分の2を占め、上位10原因食物で約90%を占めています。
これらの原因食物の頻度は、年齢によって大きく異なります(表)。乳児期では鶏卵が約6割、乳・乳製品が約3割を占めますが、学童期になると、鶏卵は2割くらいにまで減り、そばや甲殻類が増えてきます。
さらに成人になると、小麦、甲殻類、果実類(キウイ、バナナ、リンゴ、モモ、メロン)が3大原因食物で、全体の約6割を占めます。
学童期以降の原因食物は、乳幼児早期の鶏卵や牛乳のように、一部の食べ物で多くを占めることはなく、いろいろな食物に対してアレルギーを起こしてきます。最近増加傾向にあるキウイやイクラアレルギーは消費量の増加と関係しており、最新の調査では、1~3歳児の新しい発症例で鶏卵に次いで2番目に多いのはイクラであったりします。
年長児から成人では、シラカバ花粉症と関連したリンゴ、モモなどに対する口腔アレルギー症候群の割合が増えてきます。
食物アレルギーでは重篤な症状をおこしやすい原因食物を知っておくことも重要です。一般的にはソバやピーナッツが有名です。しかしこれらは誘発率が高いのであって、起こした原因食物の数でみてみると、実はやはり発症数の多い鶏卵、乳・乳製品、小麦の順に多いのです。これ以外にもナッツ類や乳幼児では増加傾向のイクラにも注意が必要です。