ミルクアレルギーは、正確には「新生児、乳児消化管アレルギー」といいます。ミルク中のカゼインやβーラクトアルブミンという蛋白質に過敏な反応を示します。
半数以上の赤ちゃんが生後3ヶ月以内に発症し、少なくとも500人に1人、毎年2000人以上の発症がみられています。
最近の調査で、特に生後早期から発症するタイプが急増していることがわかり注目されています。多くの発症時期が生後1週間以内と非常に早く、症状は血便、嘔吐、下痢などの胃腸症状です。血便や頻回の嘔吐などは他の緊急手術を要する疾患の可能性があるため要注意です。嘔吐が続くと水分が不足し脱水になったり、治療が遅れると発育に影響がでたりします。
良く知られているじんま疹などの即時型アレルギーにはIgE(アレルギーを起こす物質と結合する蛋白質)が関与していますが、生後早期発症のミルクアレルギーにはIgEは関わっておらず、代わりにリンパ球という白血球が関与しています。症状の出現が遅く、通常6時間以上かかります。即時型アレルギーでは、30~60分で症状が軽くなってゆきますが、ミルクアレルギーでは症状が持続し、ミルクの摂取を止めないと慢性化、重症化してゆきます。
約7割が生後1ヶ月以内に症状がでています。特に約1割は生後48時間以内、約半数は生後1週間以内には発症しています。いろいろなアレルギー疾患の中でもっとも早いものです。
検査は、牛乳特異的IgE抗体は診断の役にたちません。牛乳に対するALST(アレルゲン特異的リンパ球刺激試験)が陽性となります。診断は、ミルクを止めると症状が改善し、ミルクをやると症状が出ることを確認することでなされます。
治療はミルクを中止し、ミルクアレルギー専用の粉ミルク(MAー1など)に変更します。予後は良好で、1歳ごろにはたいていの乳製品を摂取できるようになります。1歳以降も牛乳の制限を必要とする場合はまれとされています。