赤ちゃんは、生まれたときからおっぱいを飲む能力を備えていますが、もっと前からお母さんのお腹の中にいるときから、その準備をしています。
胎児を観察しますと、胎齢18週頃から呼吸様運動がみられ、羊水をさかんに飲み込んでいる様子がうかがえます。かなり早い時期から哺乳の準備をしているわけです。さらに満期近くになると、指すいをしている動作までみられます。まれですが、生まれた時に指すいによる手指のただれ、水泡までみられる赤ちゃん(sucking blister)もいるくらいです。
しかし出生時スムーズに哺乳できるのは、在胎35週以降に生まれた赤ちゃんであり、それ以前に生まれた児は、十分にお口からおっぱいを飲むことはできません。
しかしどんなに早く生まれた赤ちゃんでも、不思議にこの週数になると吸引することができるようになり、経口哺乳が可能になります。
赤ちゃんが、乳首を捉え、乳汁を吸引し、嚥下するという一連の動作は、意図的なものではなく、反射的に行われます。お乳を飲むことは大きな労力を必要とします。そのため、たとえお腹がいっぱいにならなくても、赤ちゃんはやがて飲むことに疲れて哺乳をやめ、眠ってしまいます。この一連の哺乳反射によってお乳を飲み、疲れによって哺乳を中止する、というのが生後2ヶ月までの赤ちゃんの哺乳の特徴です。
しかし生後3ヶ月頃になると、自分の目でおっぱいを探し、疲れていなくても満腹感によって哺乳を中止します。おっぱいを飲む姿は同じように見えても、生まれたばかりの赤ちゃんと生後4~5ヶ月の子では哺乳の形が全然違うわけです。前者は反射的哺乳、後者は随意的哺乳といってよいでしょう。両者をわける境が生後3ヶ月頃にあるようです。