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北見小児科医師が書いた子育てアドバイス

こどもの発熱

生後6ヶ月ぐらいになると、お母さんからの移行抗体がなくなり、いろいろなウイルスなどによる感染を起こしてきます。それらをやっつけるために体が反応して熱をだします。

病原菌の侵入を認識すると免疫細胞が攻撃しますが、それでも太刀打ちできない場合は、サイトカインという物質が産生されます。これはプロスタグランジンの合成を促進し、これが脳の視床下部にある体温調節中枢に指令を送って熱のセットポイントを上昇させます。

さむけとふるえ

体温が高いところにセットされると、現在の体温をセットポイントまで上昇させるために、われわれの体は筋繊維を収縮させたり、体内のグリコーゲンや脂肪を燃焼させ熱の産生量を増加させる一方、皮膚血管を収縮させ血流量を減らして熱の放散を減少させようとします。

とくに乳児期では、熱があるのに手足が異様に冷たいことがよくあります。抹消の血管が収縮して循環が悪くなるためです。熱の出始めにふるえがくるのは筋繊維の収縮によるものです。さむけを感じるのは、皮膚の血流量が減って皮膚の温度が低下するためと考えられています。熱が下がる時には発熱と反対に、皮膚の血管が拡張し、汗が出て体温が下がります。

発熱時の対応

こどもはちょっとした病気でも高い熱をだします。熱の高さは必ずしも病気の重さを示すものではありません。急に高熱が出たからといってあわてる必要はありません。40℃でも、比較的機嫌よくお遊びしているような状態なら、緊急性はありません。高熱によって脳がおかされることは、42℃を超えるまでは起こる心配はありません。

ウイルスや細菌は比較的温度の低いところで生存しているので、体温が上昇するだけで病原体の動きが低下します。加えて免疫系の活性化が起こるため、大切な生体の防御反応です。熱が上がる時、ふるえや四肢の冷たい時は体をある程度温めてあげましょう。

熱が上がりきった後は薄着にさせ水分を十分にとらせ、アイスノンなどで頭や腋の下をよく冷やしてください。発熱時に冷やしていけない病気はありません。消耗が強いようでしたら解熱剤を使用しましょう。小児で安全に使用できる解熱剤はアセトアミノフェンです。

大人でよく使用されるインダシン(商品名ボルタレン)などは小児の感染症に使用してはいけないことになっています。解熱剤は、前述のプロスタグランジンの産生を抑制する薬剤ですが、あくまで一時的に熱を下げるだけで熱の原因を取り除くものではありません。

しかし高熱が続くと体力の消耗が激しく、水分の摂取なども十分でなくなってきます。一時的にせよ熱を下げてあげることで体が楽になり水分や食事がとれるようになります。必要に応じて解熱剤を上手く使いながら、水分や栄養補給を心がけ、原因治療や合併症の予防を中心とした治療を受けてください。

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