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北見小児科医師が書いた子育てアドバイス

赤ちゃんの頭がいびつ

赤ちゃんの頭の形がひどくいびつで、このまま放っておいていいのかどうか心配です・・・という質問をよくうけます。育児書には、大きくなれば目立たなくなります、と書いてありますが、それでもどうしても気になってしまいます。

まだ首のすわらない赤ちゃんは子宮内の胎位の関係からか向きぐせがあり、一定の方向しか向きません。頭の骨自体が柔らかく変形しやすいこと、頭はいくつかの骨でできておりまだそれがしっかりくっついていないこと、頭が相対的に大きく重たいことなどから、頭の位置が長期間同じ状態だと下になった部分が平らになってしまいます。

すると赤ちゃんは、頭の位置が安定するためますます同じ方向しか向かなくなり、余計に平らになってしまい、いびつさがひどくなります。

外圧の加わりかたで起こる頭の変形として、次の3つがあります。

  • 斜頭(頭位性)…後頭部の片側から平坦になる
  • 短頭…後面全体に圧が加わり、平らになった状態(絶壁頭)
  • 長頭…側面に圧が加わり、長く狭い状態(超低出生体重児はこの状態になりやすい)

日本では昔から仰向けに寝かせていましたが、これが白人と比較して頭の変形が強い原因ではないかとされ、一時的うつぶせ寝がはやりました。
ところが、うつぶせ寝によって乳児突然死症候群の危険性が高まることがはっきりしたため、今ではうつぶせ寝は禁忌とされています。

欧米でも最近は仰向け寝が一般的になりました。しかしアメリカでは、以前の頭位性斜頭の頻度は0.3%に過ぎなかったものが、最近の報告では5~48%となっています。

頭の変形は、生後1ヶ月くらいからみられるようになりますが、頭を上げる時間が長くなり、お座りができるようになったり動きが活発になると、頭骸骨の成長とともに普通は1歳ころには目立たなくなってきます。

基本的に無治療でよいのですが、変形のひどい場合、体動が少ない時期は、ドーナツ枕や背中にタオルを入れたりして矯正できる場合もあります。
しかし体動が激しくなるにつれてずれてしまい長続きしないことが多いようです。

向きぐせと反対側から声をかけ、ベットの位置や向きを変えて明るいほうを向かせる、おもちゃを向きぐせと反対側に置くなど逆の方向を向かせる工夫をすることも一つの方法です。
砂のう固定することも良いかもしれません。

首が持ち上げられるようになったら、できるだけ短時間でも腹ばいにさせたり、首がすわったら縦にだっこする時間を増やすなど、そうこうしているうちに自然と頭の変形は気にならなくなってしまいます。

アメリカでは、頭骸矯正器具としてヘルメットや矯正バンドが使用されていますが、日本では許可されていません。

非常にまれですが、頭骸骨縫合の早期癒合による変形があります。これは手術が必要になります。睡眠時の頭の向きに関係なく後頭部の片側が平らでいびつさが進行してくる場合などは、小児科医を受診してください。

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