お母さんは、赤ちゃんにやさしく語りかけます。この語りかけが、赤ちゃんの言葉の発達にとてもよい影響を与えます。「1日30分、静かな環境で赤ちゃんに語りかけるだけで、言葉や知能指数が驚くほど伸びる」といった「ベビートーク」プログラム。イギリスの言語治療士、サリー・ウォードが開発し、国内でも2001年「0歳~4歳、わが子の発達に合わせた1日30分、語りかけ育児」(小学館刊)が出版され話題を呼びました。
この手法は、もともと言葉のおくれや障害を持つ子供のコミュニケーション支援から生まれたもので、子供の発達レベルに応じた語りかけのコツを具体的に示しています。
「しゃべらせるため」の工夫はダメ。言葉の発達のおくれ気味の10ヶ月の児(140人)を対象とした検証で、この「語りかけ育児」を実施したグループは3歳時点でほぼ全員が正常水準に達したのに比べ、受けなかったグループの85%は依然、おくれがみられたとしています。
一見ごく単純な働きかけの積み重ねですが、子供の中では何が起こっていたのでしょう。この本の翻訳、監修をした汐見氏は、大事なポイントとして「子供の主体性」をあげています。赤ちゃんにとって、語りかけは「あなたにとっても興味がある」「見ていられてうれしい」というお母さんからの優しいメッセージなのです。
赤ちゃんの行動やしぐさ、などに丁寧に応じることの積み重ねで、赤ちゃんに、「自分のやることは相手に反応させる効果がある」つまり「自分が主人公なのだ」と思わせる。このような感覚が自信や意欲につながり、言葉を伸ばすのではないかと推察しています。
赤ちゃんの「あ~ん」「う~ん」という言葉に合わせて「あ~ん」「う~ん」とゆっくり返してあげると、赤ちゃんも連続して同じ言葉を発してきます。この言葉のキャッチボールを日々積み重ね、ゆっくりゆっくり語りかけをしてあげましょう。
お母さんの言葉の数を多くしてゆく必要はありません。語りかけは昔からの子育ての知恵ですが、30分というのが無理なら5~10分でも自然な形で語りかけをしましょう。