日本小児科学会は、2021年4月「乳幼児のマスク着用には、危険がある」との見解を公表しています。(表)
とくに2歳未満の児や障害のある場合は、自ら息苦しさを訴えることが難しく、自分でマスクを外すことも困難な場合があり、 マスク着用による誤嚥や窒息の恐れがあり、使用は危険であるとしています。
年長児に対しても、小児科医はマスク着用には、子どもの表情が見えにくくなり、体調の変化を把握しにくくなる。子どもは 鼻や口元をよく触れるため、着用でかえって感染のリスクが高まる可能性がある。もともと園の生活環境自体が密な状態で、 マスク着用で大人と同様の効果を期待するのは難しい、など多くの懸念を示していました。
昨年はコロナ感染の第5波の感染状況から、保育園、幼稚園ではマスク着用についてどのように対処していいのか苦慮された ことと思います。実際に、北見市内の各施設での対応はまちまちで、全くマスク着用を行っていない施設もありました。
今年1月からのオミクロン株による第6波の年少児の感染拡大を受け、2月、厚労省は2歳未満を除く幼児のマスク着用を 「可能な範囲で着用を勧める」という方針を打ち出しました。
北見保健所管内でも以前の感染状況と比較して、今回は10歳代、10歳未満の感染者がとても多く、保育施設での感染者も家庭内 での感染例ばかりでなく、保育施設のクラスターも散見される事態となっていました。厚労省の指針を受け、市内のほとんど すべての施設で、現在3歳以上の児は昼寝、給食以外はマスク着用を実施しているようです(2歳児は状況に応じて着用)
5月19日、コロナ感染状況の変化(第6波の感染の落ち着き)を受け、厚労省は屋外と子どものマスク着用について、新たな 見解を示しました。
2歳以上で就学前の子どものマスク着用について、「着用を一律に求めない」、マスク着用が長期になった場合、年少児の脳の 発達に及ぼす影響について考慮する必要があるとしています。
北見市内でもまだ保育園、幼稚園でのコロナ感染例が連日、数例報告されています。この状況下で今すぐマスク着用をストップ するという選択肢はないかもしれません。今後の感染状況にもよりますが、とくに子どもの発達への影響を考えると、なるべく 早い時期での幼児のマスクからの解放が望まれます。