2013年春に中国の大気汚染が深刻となり、大量のPM2.5がわが国にも飛来して問題になりました。PM2.5は直径が2.5μm以下の小さな粒子です。肺の奥深くまで侵入しやすいため、呼吸器疾患の原因になるだけでなく、肺胞に炎症を起こして循環器疾患のリスクを増大させることも指摘されています。
日本の環境基準では、大気1m3中のPM2.5濃度は「1年間の平均値が15μg以下で、かつ1日の平均値が35μg以下」と定められていますが、この度の中国での大気汚染を受けて、急きょ70μg/m3を「外出自粛基準」としました。すなわち「PM2.5が70をこえたら不要な外出や屋外での活動を控えましょう」との注意喚起を行っています。
大気汚染が深刻な北京では、時にPM2.5が400を超えて大きな問題になります。日本への影響が懸念され、全国でPM2.5濃度の測定が始まりました。北見市でも平成28年4月から常盤町にて測定が行われています。幸い、これまで基準値を超えたことはありません。
わが国では中国から飛来するPM2.5よりも、屋内のPM2.5汚染の方が深刻であること、さらにその原因がタバコである、という事実はあまり知られていません。
タバコの煙には大量のPM2.5が含まれているため、部屋の中でタバコを吸えばただちに数百μg/m3レベルに達し、自動車の中で吸えば軽く1000μg/m3を超えます。わが国では自宅の中だけでなく多くの飲食店なども禁煙になっていないため、非常に高濃度のPM2.5汚染が屋内の至る所で喫煙によってもたらされているのが現状です
子どもがこのように高いPM2.5濃度の環境に置かれることはまれです。しかしとくに家庭内で常時タバコの煙にさらされている場合、多くの影響を受ける危険があります。
家庭内では完全禁煙を、分煙もダメです。
図)室内における高濃度PM2.5汚染の現状