タバコの煙には一酸化炭素、ニコチン、シアン化水素、多数のフリーラジカルなど、250種類もの有害物質が 含まれており、そのうちの70種類に発がん性が認められています。そのため受動喫煙でも健康に大きな害が あり、わずかな受動喫煙でも健康に悪影響を及ぼすことが明らかになっています。昨年、厚労省は受動喫煙と 因果関係があるとされる肺癌、虚血性心疾患、 脳卒中などによる死亡統計を基に、年間の死亡数を推計しました。その結果、国内で年間1万5千人に上る としています。
世界保険機構(WHO)の発表によると、受動喫煙で死亡する人は全世界で年間60万人に達し、そのうち 16万5千人が5歳未満の子どもだということです。受動喫煙は大人の問題だと思われがちですが、子どもに 与える影響は大きく、多くの子どもの生命を脅かしています。
タバコの煙は、大きく3つの種類に分けられます。
主流煙・・・タバコを吸う本人がフィルターを通じて吸う煙
副流煙・・・タバコの先から出る煙
呼出煙・・・タバコを吸っている人の息から吐き出される煙
副流煙は、主流煙よりも煙の温度が低く、フィルターを通らないため有害物質の含有量も極めて多くなります。 つまりタバコの煙の中で最も有害とされています。
Thirdhand smoke,聞いたことがないかもしれませんが、最近注目されています。2009年米国で初めて 提唱された概念です。例えば喫煙室に一歩入ると、タバコの煙が漂っていなくてもタバコ臭いと感じます。 これは壁などに付着したタバコの成分が徐々に揮発して漂っているためです。この揮発した成分をサード ハンドスモークと言い、日本語では「残留タバコ成分」と呼んでいます。この残留タバコ成分を吸い込む ことを「三次喫煙」と呼んでいます。ちなみに二次喫煙は、受動喫煙のことを言います。
タバコを吸った人は匂いますが、この匂いの中にはまだ有害物質が含まれています。例えばご主人が 外でタバコを吸って戻ってきた場合、タバコの匂いがするだけで有害物質をばらまいていることに なります。三次喫煙が人体にどのような影響を実際に及ぼすのかまだ明らかではありませんが、 動物実験では有害性が確認されています。
家庭での喫煙状況を完全禁煙、分煙(子どもがいない部屋で吸う、吸った後換気、空気清浄器を置く)、 自由喫煙に分け、乳幼児の尿中コニチン(ニコチンの代謝産物)レベルを検討したところ、完全 禁煙家庭では尿中コニチンは極めて低値でしたが、分煙と自由喫煙に差はなく、分煙の効果は全く ありませんでした。空気清浄機は多種多様なものが市場にあふれていますが、ほとんどがタバコ から出る副流煙に含まれる有害物質は除去できません。