アレルギー疾患の発症を防ごうと離乳食の開始時期を遅らせたり、アトピー性皮膚炎と関係する 食物アレルギーのため自己流の過度な除去食を行なっているケースがみられます。食物アレルギーで、 ビタミンDを多く含む卵や魚を除去することでビタミンD不足に陥る可能性があります。卵を制限する ことが圧倒的に多いわけですが、卵は1個で十分量のビタミンDがとれる身近にあるすぐれた食材です。 卵アレルギーがあっても、卵黄のみなら摂取できることもよくあります。医師と相談し、過剰な制限は 避けるべきです。
くる病発症の3つの要因(完全母乳栄養、日光浴の不足、過度の食事制限)が重なった場合、 くる病になるリスクがとても高くなります。
くる病の症状
まず歩行開始の遅れや、歩き方がおかしいことで気づきます。骨がもろくなるため重力の負荷によって
O脚が目立ってきます。しかし日本人はもともと生理的にO脚の傾向があるので、ひどくならないと
わからないことも多いようです。さらに身長ののびが悪くなり、ほとんど止まってしまうこともありま
す。
くる病の診断
正確な診断は、血液検査、レントゲン所見によりますが、家庭での見分け方の目安として、まず1~2歳
くらいの子どもの場合、立たせて、あるいは寝かせて、足を伸ばした状態で、両足のかかとをつけます。
膝と膝のすき間が、おおむね3センチ以上空いていたら要注意です(図)。歩き方が気になったり、
身長の伸びが急に止まった場合、気をつけてください。治療はビタミンDの内服になります。
普通の生活を
くる病は予防できる病気です。日本では現在、完全母乳栄養が半数を越えています。人工乳の場合、
ビタミンDは十分ですが、完全母乳では不足し、潜在的なビタミンD欠乏状態にあります。欧米では母乳
だけの場合、ビタミンDの補充が推奨され実施されていますが、日本では行なっていません。離乳食で
不足分が戻れば骨に異常が残らないため気が付かないで治っているのです。離乳食が制限され、しかも
日光浴が十分でない場合、容易にビタミンD欠乏症になる可能性があります。しかし普通に離乳食を与え、
適度な日光浴をする普通の育児をしていれば完全母乳栄養でも過度な心配をすることはなく、問題に
なることはありません。