最近、動物でアレルギーを起こす子どもが多くなっています。室内でペットを飼う機会が増え、また今の機密性の高い住宅も増加の一因となっています。
動物アレルギーの原因(アレルゲン)として、もっとも起こしやすいのはネコで、次にイヌだといわれています。その他、ウサギ、モルモット、ハムスター、鳥なども原因となります。
ペットフード協会による平成23年の一般家庭を対象とした調査で、ペットとしてもっとも多く飼育されているのはイヌ(飼育世帯率17.7%、飼育数1193万匹)、2位がネコ(同10.3%、960万匹)以下金魚、メダカ、熱帯魚、カメ、小鳥、ウサギの順でした。
ネコの主要アレルゲンであるFel d1(フェルディーワン)は、皮膚の皮脂腺からの分泌物や唾液に含まれており、皮膚や毛の表面に付着しています。イヌの主要アレルゲンであるCan f1(キャンエフワン)は、唾液中に分泌され皮膚では生成されませんが、毛づくろいすることによって、皮膚や毛に付着します。これらのアレルゲンは、非常に細かい粒子として存在するので、いったん舞い上がると数時間空気中に浮遊し続けます。このため動物アレルギーのある人がネコやイヌを室内で飼っている家に入ると、ネコなどがいなくても症状が出てしまいます。
またFel d1は、壁に付着しやすい性質を持っています。
2時間以内に起こる即時型反応とそれ以降の反応があります。即時反応には、目のかゆみ、くしゃみ、鼻水、咳や喘息発作、皮膚のかゆみやじんま疹などです。稀にハムスターにかまれてアナフィラキシーを起こすことがあります。
非即時型反応として、気管支喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患に対する慢性的な増悪があります。何らかの機会に動物から一定期間離れることで症状が改善したことから、動物アレルギーの関与が明らかとなることがあります。
血液検査で、アレルゲン特異的IgE抗体を測定することにより、診断は比較的容易で、感作の程度も知ることができます。同じ環境にいても、感作のされやすさや症状の出やすさに個人差がみられます。