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北見小児科医師が書いた子育てアドバイス

子どものアレルギー⑦ 気管支喘息~その①

子どもの気管支喘息は、世界中の多くの国で増加傾向を示し、我が国でも例外ではありません。しかし重症度からみると、軽症の喘鳴/喘息が70%以上を占め、重症例は10%以下とされています。

一昔前と比較し、大発作/呼吸不全での病院への入院やコントロール困難を理由とした長期入院例は、著しく減少しています。さらに以前は100名以上あった喘息を直接原因とする死亡は、限りなくゼロに近づきつつあり、2010年には0~19歳の死亡数10名という結果が示されています。 このように喘息児が年々増加しているにもかかわらず、コントロールがなかなかできない重症例や死亡例が減少した主な要因は、気管支喘息の病態の解明が進み、それに伴う治療の戦略が大きく変わったことにあります。

喘息の発作は、何らかの刺激によって気管支が狭窄することによりますが、喘息患者さんの気管支の最大の特徴は『刺激に対して過敏である』ことです。健康な人と比べると、10~100倍も敏感な状態にあるとされています。この過敏状態は年単位で持続すると考えられています。この気道過敏性が、なぜ、喘息の児に認められるのか?もっとも考えられる原因に、慢性の気道炎症の存在が指摘され、現在は、喘息の本態は、『気道の慢性炎症』であるとされています。炎症が持続する結果、気道の過敏性を生じ、いろいろな増悪因子(ハウスダスト、化学物質、寒冷、ウイルス感染など)が作用すると、気管支平滑筋の収縮、気道粘膜のむくみ、気道の分泌物の増加によって気道の狭窄がおこり呼吸が苦しくなります。この状態が繰り返されると気道粘膜下の線維化(リモデリング)が生じてきてしまいます。したがって、現在は、環境整備による増悪因子の排除と、抗炎症薬を用い気道の慢性炎症を抑えることによるリモデリングの予防が、治療・管理の2つの大きな柱となっています。

とくに喘息の本態が気道の炎症とすると、炎症を抑えることに治療の主眼がおかれます。 もっとも強い抗炎症作用を示すものは副腎皮質ステロイドですが、全身性の投与(内服、注射など)は副作用が問題となります。現在、副作用の心配のない吸入ステロイド薬が開発され、ステロイドの吸入療法が喘息治療の主役になっています。副作用を心配することなくステロイド療法を行えるようになったことが、気管支喘息の管理に大きな福音をもたらしました。気道の過敏性は、いったん獲得されると最低3年ほど続くとされています。

発作がなくなってくるとかってに治療を中断してしまい再発するケースがよくみられています。病状をよく理解し、医師と相談しながら、根気よくあせらず治療してゆくことが大切です。

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