接種部位の発赤、腫脹、疼痛などの局所の反応が10~20%、軽度の発熱や倦怠感、筋肉痛、頭痛などの全身症状が5~10%前後みられますが、通常2~3日で改善します。ごく稀にグランバレー症候群などの報告がありますが、ワクチンとの因果関係は明らかではなく、安全性の高いワクチンといえます。
ワクチン接種後、2週間ぐらいで抗体の上昇が得られ、その免疫は3~4ヵ月で徐々に減少しますが、約5ヵ月間は有効とされています。
健康成人での感染防止効果は、ワクチン株と流行株が一致した場合は70~90%と評価されています。小児でも年長児では成人と同等の効果が期待されます。
小児の喘息患者における検討では、感染防止効果は7歳以上ではA香港型で78%、B型で60%、2~6歳の幼児では、A香港型で54%、B型で22%であったとしています。
世界各国で発表された健康小児のワクチン効果をまとめた報告では、ワクチン効果を65%としており、CDC(アメリカ疾病予防センター)は、特に入院のリスクが高い6ヵ月から5歳未満の児への接種を強く勧めています。
しかし2歳未満の児に対するワクチンの効果、とくに発症を阻止する効果は十分とはいえないようで、有意な効果は見られなかったという報告もあります。
インフルエンザワクチンには、インフルエンザに罹患した際の重症化を防ぐ効果が期待できます。「このワクチンは病気を軽症化させる」という表現が使われることがありますが、おおむね誤りではないでしょう。
特に急激に進行する脳炎、脳症の予防にはワクチンがなんらかの効果があるものと考えられています。乳幼児にインフルエンザワクチンを接種する一番の目的は、「重症化を防止する」という点にあるといえます。
H24年度から、ワクチンの1回の接種量が増量されています。それまでは1歳未満0.1、1~5歳0.2 、6~12歳0.3、13歳以上0.5でしたが、3歳未満0.25、3歳以上0.5となっており、さらなる効果が期待されます。