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北見小児科医師が書いた子育てアドバイス

学童期のやせ、やせ願望

最近の子どもの体格は、「肥満」と「やせ」に二極化する傾向が顕著になってきています。男女ともこの傾向が見られますが、とくにやせ傾向は女子に強く見られます。

この20年間でやせ傾向児は2倍に増加しました。 これは栄養面の問題というよりは、子どもたちの『やせ志向』が原因であることが指摘されており、とくに『やせ願望』の低年齢化が大きな問題となっています。

東京・埼玉の小学校高学年生を対象とした調査で、子どもたちは、自分の身体を太っているようにみており、「できればやせたい」と思っている子は男子の4割、女子では6割にも達しています。

自分の体重を「ふつう」としている子は男女とも36%でしかなく、3分の2は自分を普通よりやせているか、太っているとみています。中でも、「太っている」とする子は「やせている」とする子よりはるかに多く、男子で「やせている」とする子が22・7%、「太っている」とする子は41.3%で1.8倍、「女子はやせている」が11.5%、「太っている」が51.7・7%で4.5倍にも達します。またダイエットの経験は、小学生女子の4人に1人、中学生では3人に2人にのぼっています。

なぜ子どもたちはこのように『やせたがる』のでしょうか?
ほかの調査でもダイエット経験のある思春期女子は過半数を超え、健康よりも美意識を優先させたいためのやせ願望があることを指摘しています。このように見た目ばかりを気にしてやせたがる子どもが増えている背景には、テレビや雑誌の影響が強いといえます。

少しでも太っていることが単純に「罪悪」と感じてしまうような風潮を、身近な大人も作っていることも否定できません。太ってもいないのにさらに単純に体重のみを減らそうとすることは、けっして健康にも美容にも良いことではないことに気づく必要があります。

若い女性のやせは、生理不順を引き起こす恐れがあるほか、閉経後の骨粗しょう症の原因にもなりかねません。骨量のピークは一般的に20歳前後で、それ以降は増えにくくなり減少してゆきます。

発育期の10代は将来に向けて、十分な骨量を蓄える大切な時期といえます。成長期の不必要なダイエットは、健康に悪影響を及ぼしますが、それだけではありません。摂食障害は、10代後半からはじまり、多くはダイエットがきっかけで起こることが多いのです。

思春期の子ども、得に女子はちょっとした精神的なストレス (たとえば太っていると友達から言われた…) が契機となり、食欲がなくなり体重を減らします。対人関係から生じる精神的な葛藤などが極端なダイエットにはしる原因となり、ひいては拒食症などの摂食障害を引き起こします。

家庭では体重の急激な減少に気づきにくいことがあります。学校の身体計測時に、成長曲線を使用して継続して体重のチェックをしておくことは、子どもの異常なやせのサインを見逃さないための有力な手段となります。

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