子宮頸がんワクチン(ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン)は、12~16歳の女子の70%を超える人に 接種されていました。しかし副反応報道が過熱したことにより、HPVワクチンの安全性について見直す動きが あり、2013年6月に定期接種でありながら、厚労省が積極的に勧奨することを中止しました。その影響は 深刻で、接種率が激減し、2002年生まれ以降の女子のHPVワクチンの接種率は、現在も1%未満となって います。今年で8年の歳月が経過していますが、今ではHPVワクチンの存在すら忘れ去られている感があります。
この間、ワクチン接種が積極的に行われている先進国から、ワクチンによる子宮頸がん予防効果が次々に発表 されています。またワクチン接種に関係した「多様な症状」に対して多くの疫学調査から、接種と症状の 因果関係が否定されています。
現在、先進国を中心に、接種費用を公費で助成する国は70か国以上にのぼっており、WHOをはじめとする世界の 主要な国際機関は、接種を積極的に推奨しています。わが国でも、最近、HPVワクチン接種再開に向けての 機運が高まっています。
毎年1万人以上が罹患し、約3千人が亡くなっています。子宮頸がんの発症年齢のピークは30歳代で、出産 子育てのピークと重なります。20~30歳代の女性で子宮頸がんのために妊娠できなくなる女性が毎年 1,200人います。図に示すように、わが国では子宮頸がんは年々増加しています。子宮頸がんの殆どはHPVの 感染が原因とされており、とくに2つのタイプ(HPV16と18型)によるものが50~70%を占めています。 その感染を予防するHPVワクチン(70%の効果)と20歳以降の定期的な子宮頸がん検診でそのほとんどが 予防することができるとされています。しかしながら日本の現状は、ワクチン接種が1%未満で、子宮頸がん 検診の受診率も40%台と低いため、予防できるがんが全く予防できていません。
接種率は1%未満に激減、この状態が現在も続いている。