小児の急性胃腸炎の多くがウイルスによるもので、その原因ウイルスとしてロタウイルスが 25~30%を占めています。冬に多く、便の色から冬期乳児白色便性下痢症といわれていましたが、 最近は冬期だけでなく春や秋にも流行が見られるようになっています。米国では、毎年5万人が ロタウイルスによる胃腸炎で入院しているといわれ、わが国でもロタウイルス胃腸炎の罹患者 は年間80万人に及ぶとされています。
【症状】・・・2才以下の乳幼児に多く、おもな症状は下痢、嘔吐、発熱で、嘔吐は2~3日、 下痢は1~2週間続きます。下痢は1日数回から数十回と多く、水様便で便色は鮮やかな黄色 から徐々にクリーム色にさらに典型例では白色(米のとぎ汁様)になります。潜伏期は、1~3日とされヒトからヒトへ糞口感染、すなわち便や吐物のウイルスが手指を 介して口に入り感染します。症状が改善してもしばらくウイルスの排泄が続き、感染性も長期間維持されるとされています。 便の取り扱いにしばらく注意し、手洗いを十分におこなってください。
【診断】・・・最近、ウイルス抗原を検出する迅速診断キットが開発され、ベッドサイドで便を 少量採取するだけで簡単に検査できるようになり、広く使用されてきています。
【治療】・・・ウイルスに有効な抗ウイルス薬はありません。対症療法が中心であり、脱水が ある時は点滴が必要となり、重症例は入院治療が行われます。
【予防】・・・ワクチンが昨年から導入されており、生後6週から2回ないし3回経口接種します。 しかし他の多くのワクチンの接種時期と重なり、また任意接種で高額な点などからまだ接種する方は 少数に留まっています。
ロタウイルス胃腸炎で比較的軽症の段階で、けいれんを起こすことが知られています。 その頻度は3%くらいです。以下のような特徴があります。
とくに、けいれんが短時間のうちに繰り返し起こり(群発)、けいれんとけいれんの間(発作間欠期)
の意識がはっきりしている点などが大きな特徴とされています。
けいれんがなぜ起こるのか、ウイルスの中枢神経系への直接的な侵襲やウイルス感染に対する過剰な
免疫反応のため、など考えられていますが、まだよくわかっていません。
短時間にけいれんを繰り返すことがあるため、家族はとても心配になりますが、予後良好なけいれんで
あり心配はいりません。