RSウイルス? 名前も聞いたことがないという方も多いかもしれませんが、乳幼児とくにリスクのある赤ちゃんにとって危険なウイルスです。 比較的低温で乾燥した環境で長時間(数日)生きられるので、主に冬季に流行が見られます。鼻汁や唾液を介した接触感染や飛沫感染により、 潜伏期間は4~5日とされています。
感染力が強く、生後1才までに70%、2才までにほぼ100%が初感染を受けるとされています。 何度も再感染を繰り返しますので、家族内での感染や保育園などの感染を効果的に抑えることは難しいと考えられています。
症状は、発熱、咳、鼻汁、喘鳴などの呼吸器症状で、30~40%が下気道感染をおこし、1~3%が重症化し細気管支炎、 肺炎などで入院をしています。
米国では、乳幼児の入院患者の最多の原因であり、毎年2000人が死亡しています。この数は インフルエンザによる死亡よりも多くなっています。母体からの移行抗体があるのにもかかわらず、生後数週間から数カ月の 時期に感染すると重症化しやすく、乳幼児期の細気管支炎、肺炎の原因の30~50%をしめています。年長児や成人で重症と なることはありません。とくにリスクをもった子(早産児、慢性肺疾患、先天性心疾患など)がとくに重症化しやすいことが知られています。
一方、RSウイルス感染症の罹患後、気管支喘息を発症しやすくなることが最近指摘されており、感染後の喘鳴(気道過敏症)に気管支喘息と 同様な治療がなされつつあります。