小児の細菌性肺炎や細菌性髄膜炎は主に肺炎球菌、インフルエンザ菌(髄膜炎ではとくにb型=ヒブ) が起炎菌です。わが国ではヒブワクチンが2008年12月、肺炎球菌ワクチン(PCV7)が2010年2月に発売されました。 公費助成による接種が2011年2月から始まり、2013年4月に定期接種となっています。現在は、生後2ヶ月から ほとんどの赤ちゃんが接種を受けています。
2013年12月、日本ワクチン学会にて、ワクチン導入後の2つのワクチンの効果が厚労省の研究班から報告 されました。それによるとワクチン導入前に比べ2012年で重症のヒブ感染症が89%、重症の肺炎球菌感染症 (IPD)が55%減少していました。とくに乳児、1歳児での減少が目立っていました。ヒブ髄膜炎は93%、 肺炎球菌性髄膜炎は74%減少がみられています。とくに公費助成前後で有意な低下が認められており、 ワクチンの著明な効果が示されました。
導入直後、ワクチンの同時接種の問題、死亡例の報告などありましたが、現在は大きな副反応もなく、安全に接種できています。
重症の肺炎球菌感染症(IPD)症例で分離された菌の血清型を見てみると、2013年にはワクチン接種後の 感染例からワクチンタイプの血清型は検出されていません。一方非ワクチンタイプは、2008年の23%から2013年 には93%に上昇していました。すなわちワクチンに含まれない血清型による重症の感染症の増加が急速に進行 していました。これは欧米では以前から指摘されており、日本でも同様の状況に至っていることが示されました。 そこでこの事を考慮し、本邦でも2014年10月からPCV7からPCV13(13種類の血清型とくに欧米で問題となっている 19A型を含む)に変更されています。これにより、肺炎球菌ワクチンの効果はさらにパワーアップするものと思われます。。