インフルエンザは、毎年5~20%の人がかかります。肺炎などの合併症のために、高齢者や基礎疾患を有する人を中心に、毎年数千人から数万人の死亡が推定されています。小児では、とくに脳症の合併症が恐れられており、毎年100~300人の発生がみられています。
近年、わが国ではインフルエンザに対して、ワクチンによる予防、迅速診断キットによる早期診断、抗インフルエンザ薬による治療という基本的な治療の形が確立されています。抗インフルエンザ薬も毎年のように新しいものがでてきています。
しかし脳症などのように急激な経過をたどる場合や、発症から日数が経過している場合には、抗インフルエンザ薬の効果は期待できません。潜伏期間が短く感染力が強いインフルエンザは急速に感染が拡大するので、なによりも予防対策が重要となります。
・インフルエンザワクチンの接種率
このような状況の中、最近インフルエンザワクチンを接種する人は、以前より確実に増えてきているようです。厚労省は、1998年よりワクチンの接種状況の調査を行っています。平成22年度は、全国から無作為に抽出した3376施設を対象としています。
その結果を表1に示します。総人口の約4割の人が接種を受けており、とくに1~6才では7割の児が接種を受けています。この10年間をみても、接種率は右肩上がりに上昇しており、ワクチンの重要性が広く認識されていきていることを示しています。
接種率には地域による差が予測されます。65歳以上の方は、接種費用の補助が市から出るため、この数年の北見市の接種状況はチェックできています。
ちなみに平成20年度…58・6%、21年度…52・3%、22年度…52・6%で、大体半数の方が接種を受けていました。これは全国との差はありません。
しかし65歳以上の人以外は、これまでこの地域でどのくらいの方がワクチンを接種しているのかチェックすることは困難でした。たまたま一昨年度は、全医療機関から接種実績を報告することが義務付けられ、北見市においてもほぼ正確な接種状況を知ることができました。
表2に北見市のインフルエンザワクチン接種率を示します。