母体から胎児に移行する免疫抗体は、ヒブの場合(肺炎球菌も)生後2~3ヵ月までには消失してしまいます。また肺炎球菌による肺炎の入院例も65%、7つの血清型の肺炎球菌による急性中耳炎は54%も減少しました。3年後には、肺炎球菌による髄膜炎や敗血症の有病率は94%減少し、明らかな有効性が証明されています。
また興味深い現象として、ワクチン導入後、65歳以上の高齢者における肺炎球菌による全身感染症が65%も減少したことが明らかになりました。乳幼児に接種したワクチンによって乳幼児ののどや鼻に常在していた肺炎球菌の保菌が減った結果、伝播する菌が少なくなり、間接的な効果として肺炎球菌ワクチンを受けていない人の肺炎球菌感染症を減らしたものと考えられています。これは集団免疫効果といわれるもので、集団免疫効果は直接的な予防効果の2倍以上あるものと推測されています。
世界でこれまでに2億本以上使用されていますが、重篤な副作用の報告はほとんどみられません。主な副反応は、接種部位の発赤、腫張、硬結などですが、とくに治療せず自然に改善します。接種の翌日に発熱する頻度はヒブワクチンと比較すると高率ですが、1~2日で解熱します。
ヒブと同様に、肺炎球菌に対する母親からの免疫の移行は十分ではなく、肺炎球菌ワクチンもヒブワクチンと同じように生後2ヵ月からの接種開始となっています。念願がかなって日本でも平成23年2月から無料の接種が開始されました。効果があり安全性も高いワクチンですので、積極的に早期から接種されることが強く望まれています。標準的な接種のスケジュールを表に示しますが、他の予防接種との関連などよくわからない点は小児科医にご相談下さい。