ポリオ生ワクチンの副作用と問題点
ポリオウィルスに対する血清中の中和抗体、腸管内の分泌型IgAとも上昇するため、ポリオ生ワクチンの感染予防効果は絶大です。
しかし、生ワクチンであることから、ワクチン株によるポリオ様のマヒ(ワクチン関連麻痺)が発生する可能性がきわめて稀ながらあります。
何らかの免疫系の異常がある赤ちゃんがポリオワクチンを受けた場合に、抗体が産生されず、ウィルスが長期間体内で増殖を繰り返す間に神経毒性を回復するために発症すると考えられています。日本では、約440万回に1例、数年に1件くらいの頻度です。
これがポリオの免疫のない人の口から入ってしまうことがあります。
この場合もほとんどがワクチンを飲んだことと同じで、免疫のなかった人に免疫がつくことで何も問題ありませんが、きわめて稀にポリオ様マヒをきたすことがあります。この頻度は約580万回の投与に1例とされています。
このようなワクチン関連マヒは、現在も時々忘れたころに新聞などに掲載されたりしています。
これらの稀なポリオ生ワクチンの副作用を予防するために、不活化ワクチン(注射)の導入が検討されており、近い将来変更されるものと思われます。
昭和50~52年生まれの年齢層でのポリオウィルスのI型に対する抗体保有率が低いことがわかっています。
昭和50年生まれの方は57%、51年は37%、52年は67%であり、他の年齢層の80~90%の保有率に比べると低いのです。
その原因はよくわかっていませんが、ワクチンの質の問題なのか、またこの年代は3種混合ワクチンによる死亡事故が発生し、その影響ですべての予防接種の接種率が低下し、ポリオワクチンの接種率も66%しかなかったことも一つの要因と考えられています。
ポリオの接種がすんでいてもこの年代の人は、ポリオの発生がみられる海外に出かけたり、また子どものポリオ接種によって前に述べたワクチンウィルスに感染する危険があります。このためこの年代に対し、子どもがポリオワクチンの接種を受けるときに子どもと一緒に1回お母さんも接種を受けるように勧められています。