ポリオ(急性灰白髄炎)は、ポリオウィルスの感染によっておこる疾患で、おもに5歳以下の子どもで、発熱の数日後に急に筋力が低下して麻痺に気づきます。
ポリオ麻痺の特徴は、左右非対称で早期から筋の萎縮が著明で、急速に進行します。かつては小児に多発したところから小児マヒとも呼ばれています。
1950年代には3000人以上の患者が発生しており、特に昭和35年には6500人にも及ぶ大流行がありました。昭和36年に海外からポリオ生ワクチンが緊急輸入され、1300万人の小児に一斉投与されました。その効果は絶大で、同年より患者数は激減し、3年後には100人以下になりました。昭和39年には国産ポリオ生ワクチンによる定期(2回)接種が開始され、現在に至っています。
野生株のポリオウィルスによるポリオ患者は昭和55年(1980年)を最後に我が国では発生していません。1988年世界中からポリオウィルス消滅をめざす「ポリオ根絶計画」が展開され、ワクチンを世界の隅々まで普及させることで患者数は減少しました。現在残るポリオ流行地は、西アフリカのナイジェリアとインド、およびその周辺のみです。
この経口ポリオ生ワクチンは、まれにおこる副反応である「ワクチン間返麻痺」が問題となり中止され、昭和39年からの長い歴史に終止符が打たれ、現在は、より安全性が高い注射による不活化ポリオワクチンはH24年9月から、さらにH25年4月から三種混合ワクチンと一緒の4種混合ワクチンとなっています。