子どもの死因第1位は、不慮の事故です。このうち不慮の溺死の比率は高く、意外なことに死亡事故は、海やプールだけでなく家庭内でも多く起きています。
特に多いのは浴室での事故です。平成17年には、全国で40人近い子ども(0~9歳)が浴槽で溺れ、命を落としています。
昨年1月、札幌市内の温泉施設で、家族と入浴に来ていた男児(5歳)が浴槽内で死亡する事故が起こりました。母親が目を離したわずかな時間に1人で浴槽に入ろうとして誤って水中に転落、おぼれたとみられています。周囲には母親や大人がいたのにもかかわらず、男児が溺れていることに誰も気が付いていませんでした。
東京消防庁が、平成18年、19年の2年間に浴槽内で溺れ救急車で搬送された事故を集計したところ、10歳未満の子どもが92例に上っていました。
同時期にプールや川、海で水難事故にあった同年代の15人と比べ6倍も多く、年齢別では0歳児33人、1歳児37人で合わせて全体の8割近くを占めていました。
事故発生時の状況をみると、大人が先に出て兄弟や自分の着替えをするため、浴槽内に子どもを1人にして離れている間に起きた事故が25人と最も多く、保護者らと一緒に入浴中だったにもかかわらず溺れた子どもも21人に上っています。
「子どもと入浴中、1分ほど目を離した間にしずんでいた」
「一緒に入浴していた父親が居眠りをしてしまい、気づくと子どもの顔が湯につかっていた」
他にも親が自分の髪を洗っているわずかな間に溺れたり、ほかの大人も大勢いる公衆浴場内で溺れて気づかれなかったりしたケースが各3例起きていました。また、浴槽内に浮かべて使用する乳幼児用の浮輪がひっくり返り溺れる事故も7件起きており、このうち6件は0歳児でした。
2歳ぐらいまでの乳幼児は頭が重く、浴槽をのぞき込んだりしてバランスを崩すと自力で起き上がれず、大量の水を飲み込んでしまいます。わずか数分程度目を離しただけで取り返しのつかないことになりかねません。