0157-66-2255
0157-66-2255

北見小児科医師が書いた子育てアドバイス

子どもの予防接種 ヒブワクチン②

ヒブワクチンの効果

ヒブ髄膜炎は、初期症状がカゼ症状と区別がつきにくく、また診断されても耐性菌が増えているため治療が難しくなっています。このためワクチンの研究が進み、1987年米国で使用が開始されました。欧米諸国では、1990年前後にはすべて定期接種となっています。

米国では、ワクチン導入後3年で発症率は100分の1に減少しました。1993年に定期接種化したデンマークでは、導入後ヒブ髄膜炎は激減し、ついに2003年にはゼロになっています。

世界中から同様の報告がなされ、先進国ではすでにヒブによる重症感染症は見られていません。すでに世界の120ヵ国以上でヒブワクチンが使用され、それらの国では、ヒブ髄膜炎はすでに過去の病気になっています。

日本のワクチンの導入が世界に遅れること15年、この間に失われた「いのち」、今なお後遺症に悩む人を考えると残念でなりません。

念願がようやくかなってH23年2月から無料の定期接種が始まりました。すべての乳幼児がなるべく早期に接種することが強く望まれています。


ワクチンの副反応

日本では新しいワクチンなので副反応の心配をされる方もおられますが、すでに世界中で使用されており、非常に安全性が高いワクチンであることが証明されています。

しかし2月の接種開始後約1ヵ月間で、ヒブ、肺炎球菌ワクチン接種後の死亡例が6例報告されました。

すべてがヒブ、肺炎球菌、BCG、三種混合などのいずれか2種類、3種類の同時接種例であり、同時接種の安全性についても問題になりました。先天性の重篤な心疾患や慢性肺疾患など基礎疾患があるものが3例、基礎疾患のない3例のうち2例は、うつぶせの状態で発見されています。

報告後すぐ専門家会議が開かれ、詳細な検討が行われました。その結果、いずれもワクチン接種との直接的な因果関係は認められないと結論づけています。

諸外国の死亡報告の検討でも、死因は感染症や乳児突然死症候群が原因の大半を占めており、いずれもワクチンとの因果関係は明確ではないとしています。国内で今回見られている死亡報告の頻度(両ワクチンとも10万接種当たり0.1~0.2程度)及びその内容からみて、諸外国で報告されている状況と大きな違いはみられず、国内でのワクチン接種の安全性に問題はないものと考えられています。

厚労省の調査でH23年2月の1ヵ月では、75%が同時接種でした。同時接種において、副反応の発現率は単独接種に比べ若干高い傾向にありました。

一方、鹿児島大学の調査では、同時接種と単独接種の副反応発現率に差はありませんでした。いずれの調査でも、同時接種により重篤な副反応の発現は増加していません。

副反応は全般的に軽微であり、主なものは局所反応(接種部位の発赤、腫張)ですが、一過性で特に治療の必要はありません。発熱を見ることはほとんどありません。

Copyright © 2024 北見市 小児科 秋山こどもクリニック

小児科HOMEへ戻る