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北見小児科医師が書いた子育てアドバイス

子どもの予防接種 三種混合ワクチン(DPT)その①

三種混合ワクチンは、百日咳、破傷風、ジフテリアの3種類の病原菌の成分を無毒化した不活化ワクチンです。1期は生後3ヶ月から3~8週の間隔で3回、3回終了1年後に追加接種を行います(7歳半まで可)。

アナフィラキシーの頻度は百万回に1.7件ときわめて少なく、とくに安全性の高いワクチンです。
副反応の多くは、注射部分の発赤、腫張、硬結(しこり)などの局所反応です。接種を重ねるごとに局所反応の頻度が増し、追加接種ではその頻度は1回目(7日以内に13.2%)に比べ3倍(40.6%)ほど増加します。
接種した日より2日目以降に腫れることが多く、しこりは1ヶ月以上続くことがありますが自然に消退します。ワクチンで高熱をみることはまずありません(微熱の頻度は0.5%)

3種類のワクチンのうちで最近とくに話題となっている百日咳について取り上げてみましょう。

百日咳は、1947年に152,072人が罹患し、17,000人が死亡しています。1950年、百日咳ワクチンが予防接種法に定められ、1958年からジフテリアとの2種混合、1968年からはさらに破傷風との3種混合ワクチンとして定期に接種され、その結果、患者数は1972年には269人まで減少しました。

しかし1970年代に脳症などのワクチンによる重篤な反応が問題となり、1975年ワクチン接種は一次中止されました。1979年には13,000人が罹患、死亡数も20~30人に及びました。
その後ワクチンの改良が進み、副作用の少ない無細胞ワクチンが開発され、1981年から導入されると患者数は激減しました。

ちょうどワクチンが中断され2~3年たった時期に小児科医となった私は、毎日待合室にも入りきれずコンコン百日咳特有の咳をした乳幼児を数多く診察しました。

百日咳はお母さんからの抗体の移行が十分でないため新生児も罹患してしまいます。
生後3ヶ月未満の赤ちゃんは、特に重症で咳のため授乳もままならず、ひどい咳のため頭に出血してしまった例もありました(生後6ヶ月未満で発症すると0.6%死亡)。
ワクチン接種が再開されしばらくすると、あれほどあふれかえっていた百日咳の患者さんは全くといっていいほどいなくなりました。まさにワクチンの絶大なる効果を実感したわけです。

しかし、最近、確実に減少していた百日咳の患者数が2005年から増加し、2007年いくつかの大学や高校での集団発生が報告され、2008年は5月を中心にこの10年にない多くの患者が報告されました。次回は、この点についてさらにくわしくみていきましょう。

尚、3種混合ワクチンは、平成25年4月より、ポリオワクチンを含めた4種混合ワクチンとなっています。

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