平成13年に、厚生労働省から「チックのお子さんをお持ちのご家族への対応マニュアル」というのがでています。少し紹介してみましょう。
A 基本的な原因は生まれつきチックを起こしやすい脳の体質であろうと考えられています。脳の大脳期底核と呼ばれている場所の問題ではないかと考えられていますがよくわかっていません。チックの出やすさは、生まれつきの脳の仕組みによって決まっている可能性がありますが、ストレスが誘引となることが多いようです。
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一部のお子さんで、遺伝的にみられやすい場合があります。
現在、強くて長引くチックは同じ家族にみられやすく、多少遺伝性があると考えられています。ただ軽い治りの良いチックは、小学生のころには、4人に1人くらいにみられる調査結果もあり、かなり多くの人がもっている特性のようです。
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接し方や育て方については、基本的に今までどおりでかまいません。
ただ、生活を振り返っみて干渉しすぎるようなところがあるようでしたら、干渉を少し控えるようにすればよいと思います。
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いじめられることはほとんどありません。
チックのお子さんに学校のことを聞いても、最初の頃「おまえ何やってんだよ」などいわれるようなことはあるようです。意外にチックのためにいじめられることはありません。おそらく友達は、最初に変に思うかもしれませんが、時間がたつとその動きを見慣れているせいか、気にならなくなります。
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テレビは見せてもかまいません。
確かにテレビを見ているときにチックが増えるお子さんがいるのですが、これはそのときだけで、テレビを見るのをやめるとともに戻ります。テレビを見る時間が長くてもひどくなることはありませんし、いつ治るかということにも影響しません。テレビを見せる時間はその家庭の教育方針で決めてかまいません。
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ほとんどは1年以内で治ります。
チックの大部分はまばたきや頭をふるなど1つか2つのチックで、あまり種類が増えることはありません。
このような場合は半年か1年以内にはほとんど消えてしまいます。子どもの頃の一時的にはチックのあるお子さんは多く、100人に5~10人くらいいるといわれています。
その中で、1年以上続いてチックが全身に広がって声がでるようなお子さんは、1000人に5人くらいです。幼稚園から小学校低学年で出てくるチックは、1000人中95人以上が何もしなくても1年以内に消えてしまいます。
まばたきや頭をふるチックだけでなく、肩や手や足も動いたり、全身を突っ張るような動きがあったり、声がでたりするチックは少し長引くのですが、それでも半数の子どもは中学の終わりくらいまでには消えてしまいます。
残りの半分はその後も少し残るのですが、チックの動きは年齢とともにゆっくりとした目立たない動きになって、まわりの人は気づかなくなっていきます。