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北見小児科医師が書いた子育てアドバイス

日本脳炎ワクチン その②

北海道には日本脳炎ウイルスに感染したブタがおらず、ウイルスを媒介する蚊もいないこと、 さらに道内で40年以上日本脳炎の患者がでていないことを理由に、これまで国内で北海道のみ 日本脳炎ワクチンが行われていませんでした。
しかし関東以西で毎年数名、インド、東南アジアでは毎年数万人の日本脳炎の発生があり、 日本脳炎ウイルスの勢いは現在もまったく衰えて いません。人の移動が少なかった時代とは違い、今は北海道出身の人も、日本脳炎が流行して いる国へ旅行とか仕事などで出掛ける機会が多くなっており、北海道以外の人と同じように ワクチンを受け免疫を獲得しておくことはとても重要だと考えられています。
平成28年度から北海道でも日本脳炎ワクチンの定期接種が始まりますが、その直接のきっかけは、道外の人が 転勤で北海道に来て子どもにワクチンを受けさせようとしたところ自費でしか接種できないこと を疑問に思い、自治体に申し出たことが発端のようです。

マウス脳由来のワクチンから細胞培養ワクチンへ

1954年に我が国で開発されたマウス脳由来ワクチンは、日本脳炎ウイルス(中山株)をマウスの 脳内に接種し、ウイルスを増やしたのちホルマリンで不活性化したものでした。その後幾度も 改良が加えられ、1989年にはワクチン株もより広く免疫を誘導しえる北京株に変更されています。 それまで1/280万回の頻度で発生していたマウス脳由来のワクチン接種後の急性散在性脳脊髄膜炎 (ADEM)が2005年の症例を契機に大きな問題となり、それからほぼ5年間ワクチン接種が中止 されていました。そこでより安全性が高いワクチンとして登場したのが、マウス脳を使用しない Vero細胞を使用した細胞培養ワクチンです。
安定的にワクチンを供給でき、動物愛護の観点から、さらにADEM発症のリスクを軽減できるよう 改良されています。2009年からこのワクチンによる接種が再開され、現在に至っています。

接種スケジュール

3歳から初回免疫として2回(2回目は4週あけて)、さらに1年後に1回接種します。これが基礎 免疫となります。9歳時に追加免疫として1回接種します(計4回)。北海道では、暫定的な措置と してしばらくは、生後6か月から20歳未満(7歳半~8歳は除外)まで定期接種として接種可能です。 3、6、7、18歳は個別の接種案内が送付されますがそれ以外の年齢、とくに9歳以上は個別の 案内がありませんので、忘れず接種しましょう。生後6ヶ月から接種可能ですが、あくまで標準的は 接種は3歳からです。乳幼児期早期に慌てて接種する必要はありません。不明な点はご相談ください。

副反応

大きな副反応はなく、安全性が高い不活性ワクチンです。接種後の発熱、接種部位の発赤、はれ、 硬結が数%みられます。

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